CASE04
承継後も前経営者が経営に関与し“目の上のこぶ”に

CASE04
承継後も前経営者が経営に関与し“目の上のこぶ”に

Dさん 65歳/【家族】妻息子(30代)

Dさんは、父から会社を引き継いだ二代目です。30代で社長となり、この30年で会社を数倍にも大きく育て上げました。60代も半ばを過ぎ、自社で副社長をしていた息子さんも30代になったことで、世代交代を決めたのが、今から5年前のことです。

自社株や事業用資産の移転なども計画的に行われ、無事に承継は終わりました。息子さんに社長の座を譲った後、Dさん自身は会長として、アドバイザー的な立場で会社に関わることになりました。

ところが、承継から2年経ったところで親子対立が起きました。株主総会で息子さんが「今日で社長を辞める」と言って会社を出ていってしまったのです。

その後、仲介者を入れるなどして話し合いが持たれ、息子さんは会社に戻ってきましたが、間もなくして再び親子ゲンカが起こり、息子さんは社長職を降りて、再び会社を出ていってしまいました。もうこれではどうにも埒が明かないということで、私のもとに要請が来たのです。

Dさん。息子さんのそれぞれと個別に対面し話を聞いてみると、親子ゲンカの原因は、会社の金融対策や取引先への考え方の違いでした。Dさんは自分の代で会社を大きくした自負があり、自分のやり方には絶対の自信を持っています。一方で、息子さんは先代を超えたいという思いが強く、父がアドバイスしてくるのが疎ましくてしかたがありません。

自分のアドバイスに耳を貸さない息子さんに業を煮やしたDさんは、みずから銀行や取引先に出向き、息子さんが進めていた計画をすべて中止するように言ってしまいました。それを知った息子さんは、自分が築き上げたものが台無しになったことに腹を立て、会社を辞めてしまったのでした。

また、Dさんには経営者としてのカリスマ性があって、従業員からの人望も厚かったので、Dさんが出社することで従業員たちが、自分ではなくDさんのほうを見てしまうことも息子さんには面白くありませんでした。息子さんは、人間性は決して悪くないのですが、スタンドプレーに走ってしまう面があり、従業員からのウケがあまりよくありませんでした。社内で息子さんは孤立がちになってしまい、居場所のなさも災いして、会社を辞めるという極端な行動に出てしまったのです。

何度も話し合いの場を設定しましたが、どちらも頑固で意見を曲げません。ずいぶん手こずりましたが、結局、先代が折れて「もう口を出さない」と約束することで、どうにか息子さんを社長に戻すことができました。

先代がいつまでも現場に来続けてしまう

Dさんが息子さんに代を譲ってからも経営に国や手を出してきたことで、息子さんは社内での求心力を失い、経営者としての自信や居場所をなくしてしまいました。先代の威光が強いと、往々にしてこういう問題が起こります。

子の考えていることが親に見えない

Dさんと話し合っている中で、私はDさんの日から「息子の考えていることが分からない」「あいつは何をやりたいんだ」という呟きを何度も聞きました。

息子さんは自分の考えや気持ちを表に出すタイプではなく、黙々と仕事をするのが好きな人です。そのせいで、Dさんは息子さんの心の内が読めず、「一体どこに向かって進んでいくつもりなのか」と不安を募らせていた面がありました。

Dさんがみずから銀行や取引先に出向いてしまったのも、息子さんの邪魔をしてやろうという悪意からではなく、心配な気持ちを抑えられずに思わずしてしまった行動だったのです。

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