秘訣1
後継者選びは第3者の意見を参考にする

秘訣1
後継者選びは第3者の意見を参考にする

事業承継の流れを知っておくことで、「いつ、何をすべきか」「最低限しておかなければならないことは何か」が分かってきます。

事業承継には、次の4つのステップがあります。

①後継者の決定
②経営者と後継者の子の意思統一
③周囲への報告。株式の移転
④後継者の育成

各ステップでそれぞれ何をすべきかを知り、事前準備を始めることで、′′行き当たりばったり′′や′′右往左往′′する場面を減らしていきましょう。

まず、最初にすべきは①です。

現経営者がその責任において、「誰を自分の後継者にするか」を決定します。後継者選びは、事業承継におけるスタートです。とにもかくにも、これが決まらないことには走り出すことができません。

経営を安定的に永続させていくためには、現経営者が会社の現状と将来を見据え、誰に承継すべきかを客観的かつ冷静に判断することが重要です。「わが子可愛さ」や「経営者の都合」で後継者を決めてしまうと、従業員や取引先などからの反感を受けやすいので注意が必要です。

後継者決定にあたっては、家族や従業員、税理士などに相談し、さまざまな意見やアドバイスを聞くことが大事です。しかし、最終的な決断は、経営者自らが下さなければなりません。後継者によって会社の未来が決まるとさえ言える重大事項ですから、人任せにしたり、うやむやなままにしておいてはいけないのです。

後継者を決めたら、次は②です。

後継者の子に打診し、話し合いの場を持ちます。このとき、親は「なぜ君に会社を継いでほしいのか」の想いを語るだけでなく、会社の現時点での経営状態および将来性、次期経営者に期待すること、現時点で見えているリスクなどについて、できるだけ後継者の子に情報開示をすべきです。子が「会社を継いだら、どうなるか」を見通し、納得のうえで覚悟を決められるようにするためです。

事業承継は、後継者の子の人生を決定づけてしまいますから、承継してしまってから「こんなはずじゃなかった……」「前もって教えておいてくれれば、もっと別のやり方があったのに」「これなら継ぎたくなかった」と後悔することがあってはいけないのです。それがもとで子を潰してしまったり、親子間でいざこざが生まれたりすることがあります。

親子できちんと話し合い、子が後継者になることを了承したら、具体的に承継に向けた意思統一を図っていきます。「会社をどうしていくか」「いつ頃、承継するか」「どんな方法で承継するか」「親の引退はいつか」などをざっくりとでもいいから決めます。そして、二人で事業承継という一大イベントを乗り越えていけるようにタッグを組みます。

親と子での意思統一にはお互いの意見の擦り合わせなどが不可欠で、場合によっては時間がかかることもあります。完璧なタッグが組めるまで話し合いをしていると、時間ばかりが過ぎていき、実際の事業承継が進まないことにもなりかねません。ですから、ある程度まで煮詰まったら、親子間での意思統一は続けつつ、ステップ3に進みます。

ステップ③では、他の家族や会社の従業員に後継者が決まった旨と、今後の事業承継の予定について報告し、周囲の理解を得ます。

周囲の理解が得られないと、親族間トラブルや従業員とのトラブルの火種になりやすいので気をつけてください。後継者選びに異論が出た場合は、「なぜ、この子でなくてはいけないのか」の理由や必然性を、客観的な事実に基づいて現経営者が強く語り、時間をかけてでも説得をします。

「客観的な事実に基づいて」というのは、「経営者の個人的な感情に走らずに」という意味です。たとえばAさんのケースのように、長男には経営者としての実績がすでにあることや、長男が継いだほうが今後の銀行との関係が良好に保てることなど、会社にとってメリットが大きいことを具体的に説明するのです。長男だからというだけで「経営者である私が決めたのだから、みんな合意してくれ」というのでは通りません。

また、そのとき「いつ頃を目途に世代交代する予定か」を合わせて知らせておくと、他の家族は相続の心づもりをしやすく、従業員も仕事の引き継ぎ準備などをしやすくなります。

事業承継は現経営者と後継者の二人だけの問題ではありません。自分たちさえ納得していればよいという考えではなく、周囲も納得したうえで一枚岩の協力体制をつくっていきたいものです。

また同時に、現経営者から後継者への株式移転も行います。

法人では株式の保有率が経営権の強さに直結します。そのため、株式がすべて後継者に移転できた時点で、事業承継のハード面での承継が完了したとみなします。

株式移転の方法は、親子承継では3つのやり方があります。いずれを選択するかはケースバイケースです。それぞれのメリットとデメリットを理解して、自分たちのケースに合ったベストな方法を選びます。詳しくは税理士に相談してください。

株式移転の詳細については、次の事例2の解決策の中で取り上げます。実際の実務は専門家に任せるにしても、それぞれの違いを知っておくことは大事です。ぜひ熟読してください。

周囲への報告ができたら、④に進みます。

現経営者は後継者が一人前の経営者として会社を引っ張っていけるように育成する責務があります。

Aさんの場合は、この部分に十分な時間をかけることができず、社内が一時的にせよ混乱しました。

長男にはすでに経営者としての知識も経験もありはしましたが、それでも会社が変わればさまざまな事情が違ってきます。たとえば従業員との意思疎通、取引先との関係、会社の歩んできた道のり、目指していく方向、そういったものがことごとく異なるので、今までの経験や知識だけでは太刀打ちできない面が多いのです。別の場所から移植した草木が、環境の変化の影響で、すぐには花を咲かせられないのと同じことです。

後継者に経営者自身と同レベルの経営能力を求めるのであれば、やはりそれなりの時間と手間をかけて、後継者を教育していかなくてはなりません。

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