CASE07
「兄弟姉妹、みな平等」が招いた悲劇

CASE07
「兄弟姉妹、みな平等」が招いた悲劇

Gさん 70歳/【家族】妻、長男、二男、長女、二女

かつて日本の相続は、「家督相続制度」が原則でした。家督相続とは、嫡出長男子が家業も財産もすべて一人で承継する代わりに、一族の面倒を見る責任も負うという制度です。しかし、時代の流れとともに、このような独占的な相続は望ましくないとされ、昭和23(1948年)に家督相続制度は廃止。長男、二男、長女、二女等関係なく、子や配偶者であれば平等に相続することができる「法定相続制度」が新たに民法で定められました。

今は、どこの家庭でも「相続は兄弟平等に」という考えが主流になっています。ただ、事業承継においては、この考えが仇になる危険性を秘めています。

経営者のGさんの妻も、相続は全員の子に平等にという考えを持つ一人でした。

Gさん夫婦には4人の子(長男・二男。長女。二女)がいました。Gさん自身は、後継者の子に資産を集中させたい想いがあったのですが、妻の「4人平等に」という意見に押し切られ、資産をすべてきっちり4等分して、それぞれに継がせることになりました。私は「それは危険だからおやめになったほうがよい」と夫婦に忠告しましたが、残念ながら奥様には届きませんでした。

頑なな奥様を見て、Gさんも「うちの子どもたちは仲がいいから、みんなで力を合わせて会社をもり立てていってくれるはず」と言い、自社の株式を4分の1ずつに分配してしまいました。また、預貯金も4人同額ずつ、自宅や会社の土地など不動産については、兄弟姉妹での共有と決めてしまいました。

さて、Gさんの死後、それぞれの遺産相続に関して、兄弟姉妹間でトラブルが起きました。実は、Gさんと同居して、最後まで介護や看病をしたのは長女だったのです。「私が父さんの世話を一番したのだから、その分の見返りがあっていいはず」というのが長女の言い分でした。二男と二女は、長女の言い分がもっともだと同調しました。

会社の後継者は長男だったのですが、長男以外の3人が手を組んだことで、さまざまな問題が起きてきました。

まず、長男は持ち株が52%しかなく、他の3人の株を合わせた75%に太刀打ちできません。経営者として何かを決めようとしても決定権がないのです。

また、事業用の土地を共有させてしまったことも裏目に出ました。長男が会社を移転する計画を立て、今の土地を売却して別の土地に買換えようとしましたが、3人の反対に遭って断念せざるをえませんでした。

他の3人から株や土地を買い取ることができればよかったのですが、あいにく長男にそれだけの資金力はありませんでした。

3対1の対立構図ができてしまったことで、長男はどんどん追い詰められていきました。最終的には、長男は株の力によって社長を解任され、会社から追い出されてしまったのです。

結局、会社は二男が社長、長女のご主人が副社長となりました。二女もしっかり役員に名を連ねています。会社そのものは今も存続してはいますが、Gさんが生前に望んでいた承継とはまったく違うかたちになってしまいました。兄弟姉妹間での因縁も根深いままです。Gさん自慢の「仲のよい子どもたち」は、もうどこにもいません。

今のところ長男以外の3人で結束していますが、今後また何かのきっかけで協力体制が崩れるかもしれません。そうしたとき、誰と誰が結託するのか、あるいは全員がバラバラになるのかなど、出来上がる勢力図によって会社は振り回されることでしょう。トラブルの火種はまだくすぶり続けているのです。

問題点まとめ

問題点まとめ

遺産分割は子全員に平等でなければならないという思い込み

Gさん自身は自社株の分散や土地の共有が危険なことは分かっていました。しかし、妻の「4人平等」の思いが強く、結局は従ってしまいました。

株式が分散したことで、後継者である長男の経営実権が脅かされ、他の3人によって最終的にはクーデターまで起こされてしまいました。Gさんが長男に守ってほしかった経営方針などもすべて失われる結果に……。二男がそのまま経営してはいますが、企業としての名前は残っても、中身はまったく違うものになってしまいました。

また、土地の共有をしたことで、全員の同意がなければ建物を建てたり、土地を売却したりも現状できなくなっています。今後、その所有権をめぐって4人で争いが勃発する可能性は大いにあります。

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