秘訣8
自社株評価を下げたタイミングで後継者に移転する

秘訣8
自社株評価を下げたタイミングで後継者に移転する

生前贈与によって株式移転をするときは、株価を下げる対策をしてから移転するのが得策です。また、相続による移転をする場合は、親が高齢、健康不安が出てきたなど相続が近くなってきた段階で、早めに株価引き下げの対策を始めると、相続税を低く抑えることに繋がります。

では、どうやって自社株の評価を下げるかですが、その話をする前に中小企業の株式の評価法のしくみを理解していただかなくてはなりません。少々複雑ですので、要点だけに絞って簡単に説明します。

非上場企業の株価評価法には「類似業種比準方式」「純資産方式」「配当還元方式」の3つがあります。本書の読者の多くは、このうちの「類似業種比準方式と純資産方式の併用方式」を使うか、「類似業種比準方式」のみかの、いずれかのケースがほとんどだと思います。

さて、類似業種比準方式で自社の株価を下げようと思うとき、自社の「配当金」「利益」「純資産」の3つの要素の値を小さくすると下がります。特に、「利益」は他の2つの要素に比べて、自社株の評価に他の2つの要素の3倍の影響を与えますから、ここに重点を置いて利益を圧縮すれば、大きく株価が下がることになります。

もう1つの純資産方式は、1株あたり純資産額によって相続税評価額を算定する手法です。

純資産方式で株価が高くなるのは、長年の利益が蓄積されていたり、不動産や有価証券などの合み益があるからです。ですから、自社の株価を下げようと思うときは、「相続税評価額」を減らすと同時に、「負債金額」と「評価差額の38%相当額」を増やします。早い話が、資産を少なく負債を大きくすればいいのです。

しかし、ただ自社株評価を下げることだけに注力しすぎると、決算書の数字に大きく影響します。その結果、相続としては問題ないものの、金融機関からの信頼が下がるなど、経営面で悪影響が及びます。どの程度まで株価を下げても影響がないのか、税理士に相談しながら慎重に進める必要があるのです。

では、いよいよ本題です。類似業種比準方式でも純資産方式でも、利益の圧縮をすればいいことが分かりました。そこで、具体的にどのようにして利益を圧縮するかです。おもに次のような方法があります。

①経営者や役員の退職金として利益を吐き出す
退職金支払いは損金として処理できるため、その期の利益を下げることができます。退職金の額には明確な規定がありませんが、税法上は同規模の同業他社の事例から、適正な金額か税務署に判断されます。あまりに過剰な退職金額を設定すると、適正額ではないと判断され、適正額と判断された額を超える部分については損金処理できずに法人税がかかることがあるため注意が必要です。顧問税理士に相談をしながら、適正範囲内で損金扱いできる額の退職金を支給するとよいでしょう。

ただし、経営者が受給した退職金を自分のポケットに入れて保有したままにすると、相続が起きたときに相続財産になって、相続税を押し上げてしまいます。そうなっては元も子もありませんから、早めに贈与をするなどして移転しましょう。

②設備投資をして利益を減らす
会社の設備を新しくしたり、オフィスをリフォーム・リノベーションしたりすると、会社の経費を大きく増やすことができ、結果として利益が減らせます。社長が代替わりするにあたって、心機一転するという意味でもお勧めです。

③オペレーティングリースに参加する
オペレーテイングリースとは、航空機や船舶、貸コンテナなどのリース手法で、減価償却を活用した節税商品のことです。匿名組合の組会員となり、出資をすると、匿名組合が航空機や船舶などを購入し、航空会社にリースをします。

航空機は1機で数十億円します。すると、1年目は投資額が億単位に大きくなって利益を圧縮できます。その後は、徐々に減価償却費が少なくなっていきます。この手法によって納税負担を将来に繰り越すことが可能になるのです。

④生命保険を活用する
役員に生命保険をかけることで、損金扱いにする手法です。業績が苦しい時に保険を解約すれば、解約返戻金を利益に計上することも可能です。しかし、必要以上の額をかけてしまうと保険料が経営を圧迫することもあるため、ほどよいバランスで活用することが重要になります。

⑤会社の収益部門を分割し、100%子会社を新設する
いくつかの事業部を持っているような会社の場合、利益の大きい部門を切り離すことで、利益が圧縮されます。切り離した部門は別会社とし、当該企業の100%子会社化します。従来の会社は持株会社となり、100%子会社が事業会社になるイメージです。

すると、子会社の株価は上昇しますが、親会社は大きな利益の出る事業を切り離すことによって、利益率が下がります。すると株価は従来よりも下がります。類似業種比準方式のみで評価する会社には特に有効です。

⑥配当金を出さない
これは類似業種比準方式の「配当」の要素を引き下げるアイデアになります。非上場企業で配当する企業は少ないと思いますが、参考までに記しておきます。

類似業種比準方式の計算をするとき、配当の値は直前2年間の平均値を取ります。そこで、2年間の配当率を下げます。そして、代わりに特別配当を利用します。特別配当は類似業種比準方式の計算をするとき、配当金額から除かれるため、株価を引き下げることができます。

株価を下げるべきタイミングは、今期の利益が明らかになり、減らしたい分の額が判明したときです。決算ギリギリで株価を下げようと思っても、打つ手がなくなってしまう場合があるので、ある程度余裕を見て株価を下げる対応をすべきでしょう。できれば第4四半期に入ったタイミングがベストでしょう。ここに挙げたような手段でできるだけ株価を引き下げておき、決算期を超えたらすぐに贈与を行います。そうすることで、低い贈与税額で自社株の承継をすることができます。

株価を下げるべきタイミングは、今期の利益が明らかになり、減らしたい分の額が判明したときです。決算ギリギリで株価を下げようと思っても、打つ手がなくなってしまう場合があるので、ある程度余裕を見て株価を下げる対応をすべきでしょう。できれば第4四半期に入ったタイミングがベストでしょう。ここに挙げたような手段でできるだけ株価を引き下げておき、決算期を超えたらすぐに贈与を行います。そうすることで、低い贈与税額で自社株の承継をすることができます。

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